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吉田松陰と愛弟子たち 《松下村塾その成り立ちと講義のやり方》 [吉田松陰と愛弟子たち]

吉田松陰と愛弟子たち 《松下村塾》


松下村塾の成り立ちと講義のやり方について触れてみたいと思います。





1855年(安政2年)12月 松陰は野山獄から出獄を許され、杉家での謹慎生活に
入ります。





元は仏間だった三畳半の幽囚室(ゆうしゅうしつ)で最初、家族や親戚の者を
相手に学問を教え始めます。
やがて近所に住む下級藩士の子弟や身分を問わず学問への志ある若者が授業を
受けに集まり出しました。





ある意味松陰は長州における有名人ですよね。
脱藩、密航という藩と天下の大罪を犯してきた人物です。
ですが長州人の特徴的な気質として政治犯に対しては上も下も寛容なのです。
「かわいそうに」くらいの感情でしかなく、罪人として憎むという感覚がない
のです。なにせ藩主のお気に入りであり、重臣たちからも憎からず思われて
いる松陰です。
罪人だからといって松本村でひどい目に会うなど何もないんです。





さて塾生が多くなり、とてものこと幽囚室では手狭になります。
そこで庭にある物置小屋を八畳一間の塾舎に改築します。
1857年11月に完成します。
松陰主宰の松下村塾の始まりですね。



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http://www.takasugi-shinsaku.com/taka102.html





入塾希望者はその後も増え続け、塾生の数は100人を超えるまでになります。
そこで増築を余儀なくされ翌年3月には十八畳の塾舎に改築します。





改築には塾生総出で手伝い、松陰の最も幸せな時期になりました。
想像ですがワイワイ賑やかに皆んなで張り切ってやったんでしょうね。
材木を持ち込んだり、畳を調達したりしながら楽しい時間だったんではない
でしょうか。



img2599_file.jpg
http://www.hagihonjin.co.jp/blog/sb.cgi?page=0&sea...





ちなみに、松下村塾という名で学塾を最初に開いたのは松陰の叔父で松陰最大の教育者だった玉木文之進でした。





文之進が藩のお役に就き塾を閉じなければならなくなった時にこれを引き継ぎ
塾を運営し子弟の教育に当たったのは松陰の母方の親戚の久保五郎左衛門でした。
後に松陰門下となる伊藤博文吉田稔麿(トシマロ)はもともと久保五郎左衛門の
松下村塾で学んでいたものです。
したがって松陰で三代目ということになるんでしょう。





この時から江戸召喚・刑死までの期間のわずか2年間が松陰が塾生たちと接した
時間でした。
この短期間で維新の原動力となる人材を教育していったのです。





松陰は入塾希望者に対し教えることはできませんが、共に勉強しましょう
と言って誰でも受け入れました。





また、一人一人を弟子としてではなく友人として扱ったのです。
そしてお互いの目標について同じ目線で真剣に語り合ったのでした。
どのお弟子さんに対しても敬語を使いました。 また、叱りつけるとか一切しませんでした。



松陰らしい誠実と真心が感じられますね。




扱った課題の中心は孟子(もうし)の思想、日本の現状と未来、政治、外交、
そして維新をどのように実現していくか・・・。
簡単には結論の出ない課題を一人一人と一緒に考え抜き、徹底した議論を
行ないました。





昨今話題になっている白熱教室をTVで見たことありますか?
あれに近いことを膝を突き合わせて行ったわけです。
激論となることもしばしば。
徹夜の議論などはしょっちゅう。





松陰が一番教えたかったのは知識ややり方というノウハウではなく、本質とは 何か、それに基づきどう行動すべきかどう生きるかについて塾生一人一人が
自分で考えることでした。
そして自分が実現したいことについて行動してみることの大切さでした。
行動なき学問は無意味である・・・が松陰の言うところです。





火の出るような白熱教室だったのだろうと想像できます。




松陰は松下村塾の壁に次のような一文を刻んでいます。


「松下ろう村なりと雖も誓って神国の幹とならん」
(しょうか ろうそんなりといえども ちかって しんこくのみきとならん)

意味は 松本村はさびしい寒村だが、必ず日本の根幹となってみせよう。





松陰の決意と期待が込められた一文ですね。




そして松陰の予言通り、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、吉田稔麿、山形有朋(アリトモ)、
前原一誠(イッセイ)、 品川弥二郎(ヤジロウ)、入江九一(キュウイチ)などなど、幕末・明治期を
彩るそうそうたる人材が輩出されていくのです。



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